『地下室の手記』ドストエフスキー

2018年3月31日読了。

カポーティの『冷血』以来の、「これは私の物語だ」感があった。

それも読み始めてわりとすぐに思った。

書かれた時代背景は、19世紀帝政ロシア農奴解放令が布かれたころである。

国内は革命的な雰囲気が広がり始めていた。

変わりゆく母国にドストエフスキーが感じていたことがこの小説に結晶されているのだろうか。そんなことは私の知ったことではない。

主人公は40歳くらいの地下室暮らし。

彼には情けない、恥ずかしい思い出がいろいろあるのだが、

その屈辱的な思い、周囲に対する虚勢の張りかた、自分のしたことに対する呵責の念、いろいろなことを「書物ふう」に捉えてしまう世間知らずぶりにすごく共感してしまった。

『冷血』のペリーに対する共感とはまた少し違ったものだ。

自分が10年のときを経て当たり前だが変化してきたということなのだろう。